学校日誌

田中先生のワルシャワ通信

ワルシャワ日本人学校の田中先生から「ワルシャワ通信」が届きました。先生の任期も今年度いっぱい…。身体に気をつけて、いっぱいおみやげ話を持ってきて欲しいと思います。

最近ニュースで北朝鮮の問題をよく目にしますが、
今回は戦争関係の情報をお知らせします。
8月1日は、ワルシャワ蜂起の日です。
ワルシャワ蜂起とは、ドイツの占領下にあったワルシャワで1944年に起きた武装蜂起です。
この蜂起は旧ソ連の呼びかけにポーランド国内軍が応じる形で17時ちょうどに始まりました。
ソ連もワルシャワ中心部のすぐそばまで侵攻していたのですが、それ以降ポーランドを助けることはなく、
逆にイギリスやアメリカによる支援を妨害するような行動をとります。
そのため、火力で劣るポーランド軍は徐々に追い込まれ、ついにほぼ壊滅してしまいます。
その後、ドイツはワルシャワを徹底的に破壊され、原爆投下後の広島や長崎のような状態になります。
そのことから、今でも8月1日の17時ちょうどには、1分間時間が止まったかのように皆動きを止め、黙祷を捧げます。
写真1はワルシャワ蜂起の記念碑、写真2は蜂起後ドイツ軍に街が破壊された様子です。


8月15日はポーランド軍の日です。
第2次世界大戦からさかのぼること20年、第1次世界大戦後のポーランド・ソビエト戦争に由来しています。
ポーランドは1795年から1918年までの123年間、プロイセン(今のドイツ)・オーストリア・ロシアの3つの国に分けられ、地図から消えていました。
しかし、第1次世界大戦でドイツ・オーストリアが敗れ、ロシアでも革命が起こると、ようやく独立を果たします。
そして、分割前の領土を取り戻そうと、ソ連に侵攻します。
一時はウクライナのキエフを占領するなど大きく進撃しましたが、1920年4月以降はソ連軍が反撃しワルシャワを包囲します。
しかし、その年の8月にポーランド軍が行った大機動作戦が成功し、ソ連軍を崩壊させます。
これは「ヴィスワ川の奇跡」と呼ばれています。
そのことを記念して8月15日はポーランド軍の日となっています
写真3は毎年行われるパレードの写真です。


そして、9月1日は1939年にドイツがポーランドに侵攻して第二次世界大戦が始まった日です。
その後9月17日には、ソ連軍がポーランドに侵攻します。
その結果10月1日までにドイツ軍とソ連軍はポーランドの全域を制圧します。
そしてポーランド独立後20年で、また分割占領されることになってしまいます。

このように見ていくと、自国の平和と安全を守っていくことは、とても大変なことのように思います。
それでも、戦争という形ではなく、何とか対話でそれを叶えなければなりませんね。

以上です。
日本はまだ残暑が厳しいかと思いますが、ワルシャワはだいぶ秋めいてきました。
また時期を見て通信をお送りします。